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大人もハマる「ボードゲーム」とは?何が面白い?開発者が解説します

大人もハマる「ボードゲーム」とは?何が面白い?開発者が解説します

「最近『ボードゲーム』って聞くけど、どんなものなんだろう?」
本記事は、この疑問についてお答えします。

ボードゲームの定義

ボードゲームは「卓上にボードやコマ、カードを置き、それらを操作することで遊ぶゲーム」の総称として使われる、非常に広い領域を含む概念です。略して「ボドゲ」と言われることも。基本的には、電子機器(コンピュータやゲーム機)を利用しないゲームのことを指します。

英語では「board game」や「tabletop game(卓上ゲーム)」と呼ばれます。
(直訳的な表現として「盤上遊戯」という日本語もありますが、使用されることは稀です)

ボードが表現するものはゲームによって様々で、チェスやオセロのように駒を置くためのシンプルな格子を用いるものもあれば、ゲーム世界の地図が全面に描かれているもの、プレイヤーの体力や能力といったステータスを記録・管理するパラメータが配置されているものなどもあります。

将棋・囲碁などのような昔からあるゲームを「古典ゲーム」と呼ぶことがありますが、特に「ボードゲーム」と言う場合は、それらと異なり、何かしらのテーマ(ストーリー・キャラクター・独自のゲームシステムなど)を持つゲームを指すことが多いです。


また場合によっては、以下のようなゲームも広義の「ボードゲーム」に含むことがあります。
・ボードが存在せずカードのみで遊ぶゲーム(カードゲーム)
・スマートフォンアプリと連携して遊ぶゲーム

たとえばどんなゲームがある?

ボードゲームといえば、人生ゲームやトランプ、あるいは将棋や囲碁を想像する人も多いでしょう。しかし、実はそれ以外にも非常に多くのボードゲームが存在しています。ここでは代表例として、金字塔的作品である「カタンの開拓者たち」を紹介します。

「カタンの開拓者たち」(原語タイトル:Die Siedler von Catan)
コスモス社より1995年に販売。クラウス・トイバー作。プレイ人数3〜4人。対象年齢8歳以上。プレイ時間60〜90分。

プレイヤーたちは大航海時代に発見された無人島の開拓者となり、拠点や街道の建設を行っていく。もっとも繁栄したプレイヤーが勝利となる。陣取り、他プレイヤーとの交渉、遊ぶたびにマップが変化するなど、古典的なゲーム(将棋・囲碁など)と異なる様々な要素が盛り込まれており、現在に至るまで爆発的なヒットを記録している。

画像は以下より引用
http://www.gp-inc.jp/assets/pdf/catalog_2021s.pdf


カタンが金字塔とされる理由はいくつも挙げることができますが、一言でまとめるならば「子どもだけでなく、大人が遊んでも面白い知的娯楽」を体現したということです。

・「運の要素がありつつも、戦略的な思考によって勝敗を左右できること」
・「テーマ性があり、プレイヤーがあたかも『開拓者』になったつもりで遊べること」
・「独創的なゲームシステムのアイデア」


カタンに盛り込まれたこれらの要素は、以降の多くのゲームにインスピレーションを与えました。

一般に「ボードゲーム」と言うときは、カタンのようなゲームが想像されているケースが多いと言えるでしょう。


どれくらい広がっているのか?

もともとは知る人ぞ知るマニアックな趣味とされていましたが、最近では徐々に広い層に浸透してきており、テレビで紹介されたり、人気Youtuberの動画で取り上げられたりと、市場は少しずつ拡大しています。

(単位:億円。矢野経済研究所調査資料より)


大手技術調査・顧問企業TechNavio(テクナビオ)発行の調査資料”Global Board Games Market 2021-2025”によれば、世界のボードゲームの市場規模は、2021年から2025年の予測期間中に7.30%の年平均成長率で推移し、25億6,000万米ドルの成長が見込まれています。

世界最大のボードゲーム交流プラットフォームBoard Game Geek(BGG)の規模も参照すると、2021年の同媒体マーケティング資料によれば、登録ユーザー数260万人、月間450万人のユニークビジター、月間9000万ページビューを誇り、世界におけるボードゲーム人気を窺い知ることができます。

国内市場の規模は、本場ドイツの500億円、また隣接領域であるデジタルゲーム市場などと比較するとまだ非常に小さいものの、緩やかに右肩上がりを続けており、国内最大のボードゲーム展示会「ゲームマーケット」の来場者数もコロナ以前までは増加し続けていました。感染拡大防止の観点からイベントの中止・縮小を行ったことで、2020年以降は縮小してしまいましたが、ボードゲームの需要自体は拡大を続けています。

飲食をしながらボードゲームを楽しめるボードゲームカフェの店舗数も増加傾向にあり、国内ポータルサイトのボドゲーマにおける店舗登録数を参考にすると、2019年6月時点では346店、2022年9月時点で522店舗となっています。現在では新宿・池袋・渋谷など都内主要駅の多くにボードゲームカフェが出店しており、ユーザー層の拡大を感じ取れます。

生産の面では、ボードゲームの本場、ドイツにおける1年間の新作タイトル開発数は1000件以上とも言われています。世界中のメーカーやサークル、個人による制作で今も数は増え続けており、もはや「一生かけても遊びきれない」ほどです。

ボードゲームカフェで遊ぶ様子


どんな種類があるの?

一口にボードゲームといっても、様々な種類があります。

・みんなでワイワイ遊ぶ「パーティゲーム」
・何時間もかけてじっくり思考する「戦略系ゲーム」
etc…

意見が分かれますが、「遊戯王」や「デュエル・マスターズ」「ポケモンカードゲーム」などのいわゆるトレーディングカードゲーム(TCG)、殺人事件を題材として犯人を見つけたり真相究明をする推理ゲーム「マーダーミステリー」、プレイヤーたちでストーリーを紡ぐTRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)も、広義のボードゲームと言えるかもしれません。

種類に関しては多くの切り口があり、一度に紹介することは難しいですが、自分に合うジャンルを見つけることも醍醐味のひとつと言えるでしょう。

日本独自の文化も

同人作家は現在、年間1200から1500タイトルを発表している。しかし、特にこの10年ほどはプロの出版社が生まれており、日本語版を含め、年間200~300タイトルを発売している。

https://tgiw.info/2021/09/spieleninjapan.html より引用

国内では、企業が制作・製造し全国に流通するようないわゆる「商業ゲーム」だけでなく、個人制作者やサークルによる「同人ゲーム」も大きな盛り上がりを見せており、世界的にみても珍しい環境となっています。人気の定番だけでなく、自分だけの掘り出し物を見つけたい、きらりとひかる個性を見出したい…という方は、きっと面白い世界が広がっているでしょう。

「ゲームマーケット」では、日本人作家のボードゲームを遠路はるばる購入しにくる外国人がいるなど、日本のボードゲームは世界的にも注目されつつあります。

コミックマーケットをはじめとする「情熱をもった個人による創作文化」がボードゲームにもまた存在し、日本人のクリエイター魂が存分に発揮されているのです。

ゲームマーケットで海外向けの取材に応じる様子(「詠天記」制作者)


何を楽しむ遊びなの?

ボードゲームは、具体的には何を楽しむ遊びなのでしょうか?

・みんなで集まってわいわいする、生のコミュニケーション
・勝利を目指して頭を使い、思い通りにゲームを動かせたときの達成感
・机いっぱいにボードやコマを広げるワクワク感
・そのゲーム独自の面白い仕組みやルールの妙を味わうこと
・こだわり抜かれたコンポーネント(部品)を見たり触れたりすること

そのほかにも、ルールを自分なりにアレンジしてみたり、オリジナルのコマを自作してみたりなど、オリジナルの創作にチャレンジする人もいます。

遊ぶ人の数だけ楽しみ方がある、ということです。

大人がハマる秘密

いろいろな切り口がありますが、ここではボードゲームならではのコミュニケーションについて詳しく説明したいと思います。

小学校のとき、みんなで家に集まって遊んだ経験は皆さんありますか?
ボードゲームの楽しさは、あの雰囲気に似ています。

大人になると、友人の家に遊びに行くということも減っていきます。一般的に大人の遊びといえば、旅行にいったり、ご飯を食べに行ったり、お酒を飲んだりということが多いでしょう。

しかし、ボードゲームは全員がひとつのゲーム世界・ルールを共有し、一緒に遊ぶことで、いつもとは一味違うコミュニケーションを味わうことができます

気心知れた仲間と、気兼ねなく遊べる。あるいは、初対面の人とも、ゲームを一緒に遊ぶことで昔からの友達のように仲良くなれる。

こうした「人とのつながり・コミュニケーション」がボードゲーム人気のひとつの要因と言えそうです。

まとめ

このように、ボードゲームは子どものみならず、大人が末長く遊べる知的娯楽として盛り上がりを見せています。

あなたの好きなテーマのゲームも、きっと見つかるはずです。
ぜひ探してみてください。

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